かべメモ

いわゆるメモってやつです

ここのところの観劇メモ(穴、寝盗られ、コインロッカー)

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この4〜6月あたり、A.B.C-Zのメンバーが主演となった公演がたて続けにありました(コインロッカー〜は7月上旬まである)が、どれも充実でした。うっかり行くもんじゃない。

以下の並びは私が観た順です。

ボクの穴、彼の穴。(パルコ劇場)

f:id:johnkokabe:20160623124113j:plainざっくりとしたあらすじ:向こうの穴にいる“彼”とは敵同士。

観劇前はこんなかんじ:原作は読んだ。絵本ゆえ、けっこう気楽に行ける感じかな(内容的に)と想像していた。あとパルコ劇場は2月*1で最後かなって思っていた。多分今度こそこれがラスト。

感想など:

開幕前の取材記事にあった通り、絵本の筋を現代の若者に当てはめていった感じで、二人芝居でどっちが"ボク"でどっちが"彼"かってのは、結局どっちも"ボク"であり”彼”なんだけど、原作にあったボクの説明セリフはどちらかというと秀くんもといワタナベ(役名のほう)が言っていたような気がした。学級委員長的な。塚ちゃんもといツカダ(役名のほう)はインドア派でスイーツ好きで観葉植物と話しちゃうような子なんだけど今は銃を持って敵の出方を伺っているという。二人の体型や声まで対照的。

で、塚ちゃんいや塚田さん(悩んだけどこの公演に関しては塚田さんと呼びたい)なんですが。上手いというよりはめちゃくちゃ面白い(興味深いという方の意味で)演者さんだなとびっくりした。観劇後数日はテレビの塚ちゃんを直視できんやった。そのへんのうめきは先日だーっと勢いで書きだしました。

johnkokabe.hatenablog.jp

で、前にも書いた通り、数日ジワジワ余韻に浸っていた後「次こんな塚田さん見られるのいつだ…!」って気がついて慌てて千秋楽を観に行ったけど、間に合ってよかったです。作品はもちろんだけど、カテコのご挨拶からもにじみ出る塚ちゃん秀くんのキャラクターの違いよ…!事前の対談等のコメントなどから薄々どころじゃなく気づいていたけれど、目の当たりにできるとは!作品とは別にいいものみた!

帰ってから書いたらしいメモが出てきたからちょっと置いときますね。頭打ってるからか「このへんに天使を感じる」とかやっぱりちょっと正気じゃない。またこんな作品に出会えたらいいな。

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寝盗られ宗介(新橋演舞場)

ざっくりとしたあらすじ:妻を寝取らせて燃える男。

観劇前はこんなかんじ:メインビジュアル(一人写りの方)がとても綺麗。「作中の描写がすごいの?」ってレポート読んで心配になって、舞台の戯曲的なものに辿り着くまでに、小説版とシナリオ版とを読んだ。他につかこうへいっていわれて思いつくのは「銀ちゃんの恋*2」。

感想など:あのラストの、(寝取らせて戻ってきてないから)出てこない新婦(嫁のように扱う割にまだ結婚してなかった)レイ子を呼び出し続ける宗介のシーンが成立していたので「観に来てよかった!」って思った。なにせ宗介役の戸塚くんはたいへんな美貌の方で、間に挟まる(宗介とレイ子の関係を示すような)劇中劇での姿を見るだけでもチケット代の価値はあろうかというところ。とっつーがなんでまだ世間に見つかりきってないのか不思議で仕方がない。

この2016年に昭和の話って、上手くても表現的にドン引きなんじゃ(それは果たして2016年に「観たい」ものになっているのか?)ってテキスト読みながら警戒していたのだけど、絶妙なとこでセーフだったように思う。そういうところが、(NGなしを謳っているとはいえ)アイドルという存在はちょっと宝塚に近いのかもしれないと、宝塚から舞台を見始めた身としては感じた次第。

コインロッカー・ベイビーズ(赤坂ACTシアター)

ざっくりとしたあらすじ:あのとき聴いた“音”への旅。

観劇前はこんなかんじ:内容が過激そうだったので新装版を(お酒を飲みつつ騙し騙し)読み進めたら途中からドハマリ。原作好き×主演好き×演出家好き=?←確かにどれも好きだけど、ぜんぶ別ジャンルだったわけなので、これって逆に不安だよね?

感想など:小説の舞台化というとだいたい大幅に独自要素等を加えて、原作ファンが「そういうことじゃない」って怒りがちなイメージがあるけれど、今回は最大限そのあたりに配慮した切り取り方になっていてびっくりしました。それゆえ結構展開が早くて、原作を知らない人はキーワードを聞き取れないとついていけない仕様でもあったのかもしれません。これだけパンチのきいた原作のわりに、大きな不満点がないのが逆に不満といえば不満かもしれない。こんだけの原作だったら賛否両論巻き起こしててもおかしくない。

ハシとキクが舞台上で再現可能な形で存在したのは単純にすごいなーと思った。ハシ役のはっしーは舞台映えするし踊れるし歌声も綺麗だし(ミュージカルの発声かと問われると今はそうではないのかもしれない)、「トレーニング受けてロミジュリ(仏版)のロミオみたいな役やろうよ…」って時々思いながら見ていた(ハシもいいんだけどさ)。キク役のふみきゅんは、日頃自らを置きがちなちょっと3枚目寄りのところを全部封印しての熱演。さすがに棒高跳びはなかった。いちど下手の通路側で見たけど、脱走するとき客席通路を駆け抜けた表情がめちゃくちゃかっこよかった。

宝塚ファン(木村先生の演出作をいくつか観た者)としては、「宝塚ファンこそ観て!」ってウズウズした。ジャンル違いだからどうかな…と言いながら会う人会う人に「面白かったのよ」じわじわおすすめして回っていた。開幕前に「"スゴツヨ"や"カエサルは偉い"ばりのとんでもないダチュラソングがあるのでは」と予想(いや期待)していたけど、そういうのはなかった。一番インパクトがあったのはアネモネの「ワニの国」かもしれない。全体的にストーリーがハードだから拍手もできずにぽかーんと観てしまうけど、手拍子したかった。なんならペンライトを(振りません)。終演後バンドの人が劇中歌をメドレー演奏してくれて、その「ワニの国」パートでは手拍子が湧いてた。すごくわかる。

おわりに

これだけグッとくるものをダンダンダンと披露できるA.B.C-Zの皆様におかれましては、つぎのABC座があるとしたら是非ガチの熱いお芝居(ミュージカル的なものでもいい)にトライしていただきたいなぁと思うのでした。気軽に観られるのも好きだけども。好きだけれども。

*1:『恋と音楽Final』

*2:宝塚で上演された「蒲田行進曲