かべメモ

いわゆるメモってやつです

読書迷走のきろく2016その1

今年はいつもよりもうちょっと本を読もうかなと思ったものの迷走気味というメモ。

本件のきっかけ

「ちゃんと文章をまとめられないよぅ」という相談を、文章書くのが好きな友人にしたところ、「とにかく文章をたくさん読んでいろんなパターンやバリエーションを吸収するのだよ」というアドバイスをもらった。日頃読書をほとんどしないが、近頃とみに賢さが落ちている気もしたため、なるべく読むようにしようと思った。

当初は厚さを問わず年に50冊(≒週1冊くらい)できたらすごいなぁと思っていたが、なかなかはかどらず。4月が終わった時点で触れた本は10冊くらい(むろん雑誌は除く)だろうか。

どんな感じで読むものを選んだのか

 物語に影響されやすいというか、暗い話を読んでいると自分の気持ちも暗くなりがちだったりする性格と、固有名詞を覚えるのがちょっと苦手*1なのとで、これまで物語をなるべく読まないで生きてきた。それゆえ好きな作家等も特になく、オススメをいただいてもなかなかピンとこなかったりして(レコメンドいただいた皆様申し訳ないです)、正直どこから入ったらいいのか…と図書館の文庫の棚の前で立ちすくんだりもした。ここにあるどれもが何かしら面白いんだろうけど、今の好みに合うものを選び出せない!

まずは勘で、あまり生死にかかわらなさそうで身近そうな文章といえばエッセイだろうか…というところから始まって、今度観に行く舞台等の原作などをチェックしてみたら案外重かったり勉強になった気がしたりして今に至る。

今年触れた本の一例

「素人庖丁記」(嵐山光三郎ランダムハウス講談社)…食べ物の話ならさすがに辛くないだろうと思った。読み終わったときに書いたメモには「試す、試す、試す」と書いてある。今は「アイディアはとことん出さないと面白くならないんだな」という感じの本だったと思い出す。

「文章の書き方」(辰濃和男著 岩波新書)…今迷ってるのは文章がうまくないって話なので、そういう新書を目にしたら読んでみようと思うよね、という経緯で手に取る。ノウハウよりは「文は心である」というテーマが心に残っている。こねくり回す前にまっとうに生きようと思った。その感想でいいのかは今は深く考えないでおく。

「ピンクとグレー」(加藤シゲアキ著)…作文について友人に相談したときに「これを読むといい(色んな意味で)」というオススメをいただいて借りた。折よく映画化されており、読み終わった翌日に「これどうやって映画にしたの!?」とその友人を誘って映画館へ行ったのだった。私がこの本を手にとった世界と、本の中にある世界と、本の中の本にある世界と、どこからどこまでが今なのかなぁ。

コインロッカー・ベイビーズ」(村上龍著)…「ダ・ヴィンチ」2016年4月号の本舞台化についての対談記事を読みながら「これ以上の情報を事前記事から得る前に原作読んだ方がよさそう」と悟る。一度本屋でパラパラと見たものの、テキストを映像かなにかに変換する脳内エンジンとまったく噛み合わなくて1ページ目を突破できず、そっと棚に戻した。後日、新幹線移動の前に立ち寄った本屋で見かけたので、購入して読み始める。辛いってわかっていたので少しアルコールの助けも借りつつ、どうしても変換を拒否する部分は軽く薄目になったりしながらとにかく読み進めてみた。すると突然エンジンがかかり、3日で完走した。触感というか、肌にピリピリするような表現が印象的だった。何をどう具体的に表現する(あるいはあえて描かない)ことで印象づけるのかみたいなことをぼんやり考える。あまりにも面白く感じたために舞台への期待値(ハードルともいう)が恐ろしく上がってしまった。今すぐ読み返したい気持ちと、今から忘れて舞台を観てびっくりしたい気持ちとの間で揺れている。

「寝盗られ宗介」(つかこうへい著)…これもまたびっくりしそうな話だなと観劇レポートを見ながら察したので、予習に。しかし最初に読んだのが小説版で「随分レポートと印象が違う…」と戸惑い、次に目にしたのが映画版のシナリオらしくそれはそれで切り取り方が違うので混乱、最終的に戯曲らしきところにたどり着いた(たぶんここが一番近いのだろう)。同じ話をアウトプット先別に3周した結果、どのような方法で見せるかによって随分切り口を変えるんだなという基本的なことに気がつく。ただそれをどうやって実践するかは未だわかっていない。

他はゆるめの、ひたすら豆皿の写真が載っている本とか見て和んだりしていた。

この先の見通しとか

振り返って、そんなに急に理想像にはたどり着けないけれど、経験値は少しだけ上がったのではないかと思う。特に「最初からきっちりきっちり読んでいかないとダメ」くらいに思い込んでいたのが少し解消された点は個人的に大きい。

予習エリアは意外に収穫が多かった。たぶんこれまでだったら絶対読んでない種類の作品が多かったので、人生わからない。そして面白い。とはいえ予習ネタは尽きているので、次読むものとの出会い方の検討もしてみようと思う。

*1:同じ姓の人がたくさん出てくる(テキスト上で視認しづらい)とか、登場人物の名前がカタカナで長くていちいち愛称と役職呼びもあるとか、物語が長くてとにかくたくさん登場人物が出てきたりとかするとちょっとつらい